590591
592
593

日本史で9月15日といえば、関ヶ原の戦い。

NHKの大河ドラマでも、何度も映像化されていますが、

私に言わせると、キャストが少々弱いです。

「関ヶ原」の決定版と言われるのが、

TBSが1981年に作成したものです。

私の大好きな高橋幸治さんが大谷刑部役で出演をされています。

今回は三成役の加藤剛さんと、出陣を巡ってのやりとりを、

全文掲載します。



刑部、眼が見えぬのか?

うん・・・。

この儂が見えぬようになったのか?

うん、眼にも来てしもうた。

 ああ、隼人之庄殿も大きうなられたであろうな。

 今回の会津への出陣、お主の名代の隼人之庄殿を、

 儂がしっかり後見する。

刑部、せっかく隼人を迎えに来てくれたが、隼人はやらぬ。

会津に出陣せぬというのか?

刑部、話がある。

話? 何の話だ。

兵を挙げる。家康を討つ!

よせ。しくじる!

しくじるものか。

三成、お主、眼が見えなくなったのか?

 この天下に、お主ほど何もかも見通せる眼を持った男はないと思っていた。

刑部!

わかっている。

 徳川の勝手な振る舞い、お主は我慢できぬ。

 儂もそう思う。

 だが徳川の力は大きすぎる。

刑部、お主まで臆するのか?

 太閤殿下が、あの大谷に100万の兵の采配をとらせてみたい。

 と申されていたことを、忘れはせん。

 そのお主が・・・。

臆するものか。ハハハ。

 だが、お主が立っても天下の諸侯の多くは、

 お主の旗の下へは集まるまい。

義の旗を立ててもか?

無理だ。

 三成、儂と一緒に東国へ行こう。

 お主と儂とが力を合わせれば、徳川と上杉の仲は鎮められる。

いや、それは出来ぬ。

なぜ出来ぬ?

俺には出来ぬ。

まさか、三成! お主!!!

すまぬ。上杉とはもう志を1つにしてある。

 上杉だけを死なすわけにはゆかぬ。

 儂はお主に相談するべきだったが、お主が止めることを恐れた。

 刑部、許してくれ。矢は蔓を離れたのだ。

 儂と共に立ってくれ。刑部!

自滅するぞ。さらばじゃ、三成。

さらばじゃ。友よ、さらば・・・。



高橋幸治さんは白絹で顔を隠し、眼も見えないという演技設定です。

過去に大谷刑部を演じた役者さんは何人かいますが、

これだけのハンディを負って、堂々とした演技を見せてくれたのは、

高橋幸治さんだけです。

私にとっては、俳優さんを通り越して「神様」です。